コラム
カウンセリングって一体何をするの?
カウンセリングって話を聞くだけじゃないの?
家族や友達に話を聞いてもらうのと何が違うの?
このような疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。
カウンセリングの中でカウンセラーが何をするのか、カウンセラーとの人間関係で何ができるのかについて私なりの考えをお伝えしたいと思います。
カウンセラーが行うこと
・相談者の方が抱えている問題についてお話しいただき、気持ちや状況を整理しながら、問題の背景にあると考えられるものや見通しなどをお伝えします。
・必要であれば問題に関わる心理学についての知識をお伝えします。
これはカウンセラーが一方的に知識をお伝えするのではなく、そのことについて話し合うことで、理解を共有していきます。
カウンセラーとの関係の中でできること
・モヤモヤや違和感などはっきりと言葉にならない気持ちについて考えることができます。もしかしたら気が付いていなかったご自身の感情に気が付くことがあるかもしれません。
・問題の捉え方や、いつも陥ってしまうパターンを振り返り、問題と距離をとったり、新たな視点やいつもと違うやり方はないか考えていきます。
相談者の方の代わりにカウンセラーが悩みを解決したり、魔法のように辛さを取ることは残念ながらできません。
カウンセリングの効果が出るにはたいていは少し時間がかかります。
でも長い目で見て、今よりも生きやすくなっていくこと、今よりも人生がより良くなったと感じられるようになることを目指します。
カウンセリングを受けてみて、イマイチだった、思ったほどの効果がなかったと感じる方もおられるでしょう。
その時はその事自体をカウンセリングの話題として取り上げることで、どんなところが物足りなかったのか、その方がカウンセリングに望んでいることは何かについて考えることができます。
モヤモヤなどのあいまいなサインでもキャッチすることができればそれを扱うことができます。扱うことができればそれはどのようにしたら良いのか、あるいはどうにもできないことなのか、切り分けをすることができます。
そういう繊細な作業をじっくりできることがカウンセリングの良いところだと個人的には思っています。
身近な人に相談に乗ってもらうことも本当に良いことですが、上記のようにカウンセラーは身近な人とは違った視点で、お話を伺います。
また、身近な人には話しにくいことや、身近な人には相談できない、という場合にもカウンセリングはおすすめです。
カウンセリングの抵抗感について
相談をお受けしているときに「カウンセリングを受けるのは嫌」「家族に勧めたけどカウンセリングには行きたくないと言っている」というお話を聞くことがあります。
私自身も長年カウンセリングを受けているのですが、やはり初めて受けるときや、自分の問題と向き合わなければならない時には、色々考えてしまって行きたくない気分になりました。
今回はカウンセリングを受けてみたいけど、何となく不安や抵抗感があるという方のために、カウンセリングに対する不安とその対処法について主に心理面から考えてみたいと思います。
〈余計傷つけられるのではないかという不安〉
カウンセリングは、自分の問題や弱いところを語ることが多いので、普段着ている鎧を脱いで弱点をさらすような怖さがあるのは当然と言えます。
さらにカウンセラーが問題を理解してくれなかったり、ひどいことを言う人だったらどうしよう。努力していないことや、うまくできないことを攻められたりしたらどうしようといった考えが出てくることもあるかもしれません。
このような不安は、自分に足りないとわかっていることを指摘されるとつらいという、自分を守りたいという当然の気持ちから生まれると言えます。カウンセラーに、親や先生など「アドバイスをする人」のイメージが重なりやすいことも、不安を強くする一因かもしれません。
〈問題や悩みに向き合う怖さ〉
漠然と頭の中で考えていることを言葉にする、話すことで現実味が増してしまう、向き合うことが怖くなるということがあると思います。
モヤモヤ一人で考えていることもつらいけれど、話してしまうとそれが現実として直面させられてしまうのが怖い。
相談したいと思っているのに矛盾しているようですが、話したいけど話したくないという葛藤は、それだけご自身の問題を大きいものととらえている、向き合うことが困難な道のりなのだと思っていることの裏返しなのではないかと思います。
〈期待が裏切られる不安〉
抵抗感が大きいほど、それを乗り越えるために期待も大きくなりがちなのかもしれません。
これだけ嫌なんだから、頑張って行ったらいいことがあるはず、というような。
カウンセリングに行けば魔法のように苦しいことが減るのではないか、苦しい日々がついに終わるのではないかと思うことも無理からぬことです。
〈抵抗感を減らすためのヒント〉
もしこういうことが不安でしたら、そのような不安があることを率直にカウンセラーに伝えてみていただけたら良いと思います。
不安や葛藤があることも、抵抗感があることも、そのこと自体が大事なカウンセリングのテーマになります。
何を話して、何を話さないか、どこまでどんな風に話すか、その決定権は相談に来られた方にあります。
疑ったり警戒したり、身構えたりしながら、恐る恐る、相談にいらしていただけたらと思います。
実際のところ、人間関係の、生のやりとりですので、誤解があったり、言葉足らずだったりして、モヤモヤした気分が残ることもあります。その場で言えなくて引きずることもあるでしょう。カウンセラーに幻滅したり、がっかりすることもあるかもしれません。
魔法のように事態が良くなることは少ないです。
ですが、話すことで視点が変わったり、考えが整理されたり、自分の気持ちに気づいたり、これからの道筋が見えたりして楽になることは多いです。
何よりも自分のことについて、嫌なことも含めて時間いっぱいゆっくり話すことは、カウンセリングでしかできない作業ではないかと思います。
カウンセリングとは地道で地味だけど、ここでしかできないダイナミックな作業だとつくづく思います。
勇気を出して相談に来られた方のお力になれるように、心を込めてお話をお伺いしたいと思っています。
カウンセリングに対するネガティブな思いも含めて、どうぞ、ご相談下さい。
オンラインカウンセリングのメリットとデメリット
ひこばえ心の相談室では現在オンラインでのカウンセリングをお受けしております。
オンラインカウンセリングは、オンラインであるからこそのメリットとデメリットがあります。
よく知っていていただいたほうが、誤解が少なく、スムーズにカウンセリングに入りやすいと思いますので、まとめてみました。
オンラインカウンセリングのメリット
1.家から出なくてもOK
様々な事情で、外出が困難な方でもカウンセリングができます。また当相談室から離れた場所の方でもお受けすることができます。
大人のやりとりがまだわからない年齢のお子さんは一緒にカウンセリングに入っていただいても、お子さんのお世話をしながらでも大丈夫です。
ただ、カウンセリングは非常にプライベートな話になりますので、安心してお話しいただくためにも、同居人がいらっしゃる場合は個室でプライバシーが守られる環境を用意していただきたいと思います。
2.言葉の情報をやり取りするのに最適
下記のデメリットの内容と表裏一体なのですが、オンラインカウンセリングは、画面外が見えない分、言葉でのやり取りが主となります。じっくり話をしたい方、カウンセラーとの言葉のやりとりがしたい方にはとても合ったやり方といえます。
3.画面越しであるため、対人緊張や感染症の心配が減る
人と対面で会うと緊張するけど、画面越しなら緊張感が和らぐという方にはオンラインカウンセリングは良い方法といえます。
また、人と直接会うということは、どうしても感染症の心配がつきものですので、その心配がなくなることもメリットといえます。
オンラインカウンセリングのデメリットと対処法
1.対面でのカウンセリングと同様の経験とならない場合がある
オンラインカウンセリングでは、身振り手振りなどの、画面外の情報が伝わりにくいため、対面のカウンセリングと比べて、お互いに受け取る情報が少なくなってしまいます。また、通信の障害などにより、対面カウンセリングにはないストレスや疲れを感じることがあります。
このことはお互いに意識化されにくいですが、「伝わりにくさ」「理解しにくさ」「冷たさ」といった印象や、カウンセリングがうまくいっていない感覚につながるかもしれません。
このことをできるだけ避けるために、カウンセラーはカウンセリングの場で起きていることをなるべく言葉にして、相談者の方と共有します。
対面では何となく察せられるものが察しにくくなるため、それを言葉にして補うのです。
したがって対面での会話よりも、言葉数が多いとか、そこまで言葉にしなくてもと思われるかもしれませんが、ご理解いただければと思います。
2.緊急時の対応ができない
相談者の方が心身が危険な状態だと思われるときに、対面のカウンセリングでは近隣の医療機関や、お住まいの地域の相談機関などにつないで安全の確保に努めることがあります。しかし、オンラインでのカウンセリングではそのような対応が非常に難しくなります。
そのため、オンラインカウンセリングでは、自傷他害の恐れのない方を対象としております。もしカウンセリングを受けている期間に具合が悪くなった場合などには他の機関へのご相談をお勧めすることがあります、ご理解いただけたらと思います。